秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!
ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

秋田県の水温低下で魚も変わる?
原発停止による日本海の変化②

 秋田の魚といえば、「県の魚」に制定されているハタハタ。かつては獲れ過ぎて「箱代にもならない」といわれたのが、漁獲量の激減で高級魚に転じて久しい。漁獲量減少の理由は乱獲をはじめとするさまざまな要因が挙げられ、海水温の高止まりもその一因とみなされている。前回紹介した日本海の水温が下がれば、ハタハタに代表される秋田県の魚業にもいずれ変化が生じるのは必至だ。

 全原発停止によって日本海の水温が下がるという注目すべき研究結果をまとめたのは、前回述べたように機械工学の専門家である平松健男氏。同氏は自動車設計に長年携わった経験から流体力学からCO2問題まで幅広い知識と関心があり、かねてより原発から海に放出される膨大な温排水の影響を危惧していた。とりわけ海面温度と温暖化の因果関係が明らかになる海として注視していたのが日本海だ。日本海は太平洋と異なり、北は宗谷海峡と津軽海峡に、南は対馬海峡に閉じられたいわば内海であり、しかも北海道から九州まで日本の全原発の半分以上(33基)が並び、温排水による海面温度の上昇とそれによる温暖化の影響が出やすいからだ。

 「フクシマ事故で原発が止まる前の09年と10年の夏には大型クラゲが繁殖し、11年1月には山陰地方のベタ雪で452隻もの漁船が沈没しました。ベタ雪は海面温度上昇による結晶生成の不完全な重たい雪で、山陰の漁船はその重さに耐えられなかった。一方、昨年夏に再稼働した大飯原発の周辺ではまたクラゲが繁殖しているように、局地的には原発温排水の影響とみられるさまざまな現象が起きています。ただ日本海沿岸部全体の水温上昇と温排水の関係を調査研究したものはありません」(平松氏)。

 そこで平松氏が着目したのが原発のない秋田県沖の海面温度の変化だ。原発のある地域では温排水の影響が強く出て、日本近海全体の姿を捉える観測点にはふさわしくない。そして海面温度は台風など強風による海水撹拌もあるため、年間を通して水温が比較的安定している6月下旬に焦点を合わせ、秋田沖と北端の稚内沖、南端の長崎沖の3地点における過去26年間の平均気温を算出。これに大気温による影響を加味するために能登半島の大気温データも加えるという独自の手法で分析した。

 日本海は北のオホーツク海やアムール川からの冷たいリマン海流と南からの対馬海流(暖流)が流れ込むが、リマン海流より対馬暖流の影響が大きく、これに温排水が加わるという構図だ。そして原発停止前の10年6月と停止後の12年6月を比較すると、両海流の入り口である稚内沖、長崎沖ともに水温に変化はない。しかし、秋田沖では原発停止前より停止後は2度下がり、能登半島の大気温は3度も下がっていた。これに太陽光や両海流の増減など、海面温度を左右する各種要因を加味した複雑な計算式により、平松氏が算定した原発停止前と後の秋田沖の海面温度は2・9度低下していた。

 平松氏の調査研究は原発温排水による海面温度の上昇が温暖化要因だったことも実証しているが、身近な問題は海水温の変動が漁業に及ぼす影響だ。水産庁や秋田県など公的機関には豊富な統計資料はあるが、海水温と漁獲の関係を直接表すものはない。環境だけではなく、漁法や漁船数など人的な変動要因が多いからだ。

 「ただ大きな傾向としていえるのは、近年はサワラのような暖流系魚類の漁獲量が昔の数トン単位から数十トン単位に増えていたことでしょうか。同じくマナカツオも近年増えていました」(県水産漁港課)。

 独立行政法人・水産総合研究センターも一概に言えないとしつつ、「きわめて大ざっぱにいえば暖流系の魚が年々増えていた」といえば、秋田県水産振興センターも「昔は北海道にいなかったブリが宗谷海峡あたりまで北上する一方、北海道から日本海へ南下していたホッケが北海道でも禁漁になっています」、と近年の温暖化を口にする。

 日本海で原発が稼働したのは、1970年の敦賀、美浜に始まり、島根、高浜、大飯と続いて、90年ごろまでに現在の半数16基が稼働している。この間における秋田の漁業といえばハタハタの激減だ。水産総合研究センターの統計によれば、60年代から70年代半ばまで秋田を中心とする青森、山形、新潟、富山の日本海北部のハタハタ漁は年間2万3000トンから2万4000トン。それが76年に急減して以降はどん底。水産庁レポートでは、90年初頭は最盛期の1%、わずか200トンまで落ち込み、秋田は5年間も全面禁漁だった。寒冷系のマガレイも同じ傾向を示しており、日本海温暖化の影響が漁業に現れていたのは確かだろう。

 それが一転して原発全面停止による水温低下が続くとなれば、禁漁や漁獲制限などの保護策によって何とか復活したハタハタ漁が自然の力でかつての活気を取り戻すのも夢ではない。日本海が40~50年前の姿に戻るか否か、政府のエネルギー政策次第である。

(了)


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
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